第56回 かつての利根川の流れをしめす西大輪砂丘(にしおおわさきゅう)
更新日:2018年7月25日
久喜に砂丘があると聞けば、驚かれる方も多いのではないでしょうか。鳥取砂丘など海岸沿いのものが有名ですが、市内の砂丘は河川沿いに形成された河畔砂丘(かはんさきゅう)です。
河畔砂丘は、河原の砂が風によって巻き上げられ、高く積みあがったものです。砂丘形成には、大量の砂を運ぶだけの大河川(だいかせん)があり、乾燥した季節に一定方向の風が吹き続けるなど、いくつかの条件があります。国内では珍しい存在で、利根川の旧河道(きゅうかどう)、木曽川(きそがわ)、北上川(きたかみがわ)など、太平洋側の大河川沿いにしか形成されていません。
市内の砂丘は、高柳(たかやなぎ)、西大輪、青毛(あおげ)の3地区で確認されています。羽生市から越谷市にかけての利根川の旧河道沿いに点々と分布しているものの一部です。利根川の旧河道は、かつて利根川が東京湾へと流れていた頃の本流筋(ほんりゅうすじ)の流れです。この流れに乗ってきた榛名山(はるなさん)や浅間山(あさまやま)の火山灰等によって砂丘は形成されています。春日部市内の砂丘では、発掘調査により平安時代から室町時代にかけての時期に形成されたことが明らかになっているので、市内の砂丘も同じ時期と考えられます。
市内3か所の砂丘のうち西大輪が最大で、時期の異なる砂丘列が南北に4列あります。特に規模の大きな東側の2列は長さが1キロメートル~1.6キロメートルもあります。このうち保存状態のよい西大輪神社・雷電社境内(けいだい)が、「中川低地(なかがわていち)の河畔砂丘群 西大輪砂丘」として、平成28年3月15日に埼玉県指定天然記念物となりました。
現地を訪れ、かつて利根川が流れていた頃の風景を想像してみるのはいかがですか。
中川低地の河畔砂丘群 西大輪砂丘(西大輪神社・雷電社境内)
案内図
西大輪243-1ほか
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