第92回 久喜八雲(やくも)神社の山車(だし)行事(天王様・提灯(ちょうちん)祭)
更新日:2019年7月29日
毎年7月の12日と18日に久喜駅周辺で行われる「久喜提燈(ちょうちん)祭り」は、「久喜八雲神社の山車行事(天王様・提灯祭)」として市の無形民俗文化財に指定されています。八雲神社はかつて牛頭天王社(ごずてんのうしゃ)と呼ばれ、夏の疫病除(えきびょうよ)けのために行われた山車行事は「天王様の祭り」として親しまれてきました。この行事は、昼に人形山車、夜に提灯山車を引き回すことが大きな特徴です。この昼と夜とで山車を大きく転換するという特徴は、都市部の疫病退散を目標とした夏祭りでは全国的にも類例が少なく、埼玉県内では市内の山車行事が唯一と言えます。
「天王様の祭り」は元々神輿(みこし)が町内を巡るもので、その起源は江戸時代の享保年間(1716~1736)までさかのぼると考えられます。それに対して、山車行事は天明(てんめい)3年(1783)から始められたという伝承があるものの、江戸時代までさかのぼることを示す史料はこれまで見つかっていませんでした。
しかし、平成28~30年度に市教育委員会が行った調査によって天保(てんぽう)10年(1839)の記述に山車の部位を表すものが見つかり、安政(あんせい)2年(1855)には6台の山車が祭礼に参加したという史料なども見つかったことで、江戸時代に山車行事が行われていたことが史料からも明らかになりました。
このような最新の調査成果がまとめられた報告書『久喜八雲神社の山車行事(天王様・提灯祭)』を刊行いたしました。この報告書は文化財保護課などでお求めいただけるほか、市内の各図書館でもご利用いただけます。ぜひ一度ご覧いただき、久喜提燈祭りの深い歴史に触れてみてはいかがですか。
報告書『久喜八雲神社の山車行事(天王様・提灯祭)』を刊行しました
久喜駅西口に集まる提灯山車
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