第96回 天然記念物のタブノキと旧渡辺多門(わたなべたもん)家
更新日:2024年4月1日
問い合わせ先:文化振興課文化財・歴史資料係
上川崎(かみかわさき)地区には、市指定の天然記念物「旧渡辺多門家のタブノキ」があり、2本のタブノキが生育しています。この木は樹齢(じゅれい)約400年、木の高さは約19メートル、幹周りは3メートルにもなり、昭和52年に天然記念物に指定されました。タブノキは、クスノキ科タブノキ属の常緑樹で、4月頃に小さな花を咲かせ、9月頃に小さな果実をつけます。
このタブノキは、その名の通り旧上川崎村の名主(なぬし)渡辺多門家の屋敷前にあります。渡辺家は、江戸時代の地誌『新編武蔵風土記稿(しんぺんむさしふどきこう)』によると、室町時代から幸手を拠点にしていた一色(いっしき)家に繋がる家系です。一色家は、鎌倉時代に足利氏から分かれた一族で、下総(しもうさ)国古河(現在の茨城県古河市)を拠点に東国を支配した古河公方(くぼう)足利家に仕えていました。その後は徳川家に仕え、当主一色義直(よしなお)は幸手領に5160石の領地を認められました。
この時、弟の政義(まさよし)は農民の身分となり、渡辺を称してこの地に屋敷を構えました。当主はその後、上川崎村の名主を代々務め、多門と名乗るようになりました。
渡辺家出身の人物として、渋沢栄一の秘書的な役割を果たした渡邊得男(わたなべとくお)がいます。また、詩人・評論家として活躍した安積得也(あづみとくや)は、母方の実家である渡辺家で幼少期を過ごしました。桜田小学校や近隣の小中学校の校歌の作詞なども手掛けています。
このような渡辺家ですが、その屋敷跡にそびえるタブノキが当時を偲ばせてくれます。皆さんも是非、旧渡辺多門家のタブノキをご覧になってみてはいかがでしょうか。
旧渡辺多門家のタブノキ
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