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第25回 県内最古の形式を示す建造物 下新堀久伊豆神社本殿(しもにいぼりくいずじんじゃほんでん)

更新日:2018年7月25日

菖蒲地区新堀にある久伊豆神社の本殿は、県の文化財に指定されています。

この建物は、間口(まぐち)、奥行とも二尺八寸(約85センチメートル)の一間社流造(いっけんしゃながれづくり)で前面に軒唐破風(のきからはふ)と千鳥破風(ちどりはふ)を備え、屋根は柿葺(こけらぶき)となっています。

この本殿の特徴は、壁面彫刻と向拝柱(ごはいばしら)の巻竜にあります。特に向拝柱は一木(いちぼく)から巻竜を彫り出し、昇降の竜としてそれぞれ左右に配しています。柱部分は几帳面取(きちょうめんどり)され、手の込んだ仕上げで、県内でも最古の形式を示すものです。

その他の特徴として、彫刻が羽目板(はめいた)と一体となり、柱に小穴で入れる手法を用いていること、妻飾(つまかざり)が力士の彫刻で、棟木(むねぎ)を受け三斗(みつど)を支える形式であること、浜縁(はまえん)が中央に平三斗組(ひらみつどぐみ)、左右に三斗組の変形で受けるなど珍しいものがあります。

彫刻の図柄は、右側が松に尾長鶏(おながどり)、左側が牡丹(ぼたん)に唐獅子(からじし)、背面が竹に虎となっています。脇障子(わきしょうじ)の図柄は高砂(たかさご)の尉(じょう)と姥(うば)の彫刻で、姥は箒(ほうき)を担ぎ左褄(ひだりづま)をとった奇抜な構図となっています。

この建物は擬宝珠(ぎぼし)(高欄(こうらん)の上にかぶせたねぎの花の形をした金属の飾り)の銘文と棟札(むなふだ)から宝永6年(1709)の造立と確認され、裏書きによって江戸神田かうや(紺屋(こうや))町の清右衛門(せいえもん)という宮大工(みやだいく)により建てられたことが分かります。

社寺建築史上・彫刻史上貴重な建物です。

写真 下新堀久伊豆神社本殿
下新堀久伊豆神社本殿

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