第127回 鷲宮神社(わしのみやじんじゃ)の新たな魅力
更新日:2024年4月1日
問い合わせ先:文化振興課文化財・歴史資料係
鷲宮神社社殿(しゃでん)の左右の壁に、大型の額がそれぞれ対称的に掲げられています。確認したところ、時代は異なるものの、どちらも剣術関係者によって奉献(ほうけん)された額であることがわかりました。
本殿(ほんでん)に向かって左側にある額は、弘化(こうか)3年(1846)4月に、幸手の金子竹香(かねこちくこう)が書いたものです。金子竹香は、久喜の郷学(ごうがく)・遷善館(せんぜんかん)の経営を支えた井上家の出身でした。額の作成を依頼したのは、上清久(かみきよく)にある神道無念流(しんとうむねんりゅう)戸賀崎家三代芳栄(よししげ)の門生(もんせい)たちで、師の芳栄と神道無念流が今後も益々栄えていくことを願って奉献したものです。
本殿に向かって右側にある額は、昭和(しょうわ)11年(1936)4月17日に、國學院大學(こくがくいんだいがく)長の河野省三(こうのせいぞう)が書いたものです。依頼したのは、江面(えづら)の剣道教士(きょうし)宮内純(みやうちじゅん)の門弟(もんてい)たちで、師を称(たた)えて奉献したものです。同額には、純が北辰一刀流(ほくしんいっとうりゅう)や小野派一刀流(おのはいっとうりゅう)の達人だけでなく、美濃派獅子門(みのはししもん)十三世(じゅうさんせい)江面庵富寶(えづらあんふほう)という当代一流の俳人であったことや、江面村長や久喜町長など数多くの公職等に就任したことなども書かれていました。なお、宮内家の祖先は、かつて鷲宮神社の神官であったと伝えられています。
どちらの額も剣術関係者による奉献ということで、それぞれの額には木製の剣が掲げてあったようです。大きさは、ともに縦225cm×横273cmと非常に大きく、格式ある神社の社殿に掲げるにふさわしい堂々としたものです。
鷲宮神社は、国の重要文化財である貴重な「太刀(たち)」を所有しているだけでなく、中世から近世にかけて神主を務めた大内氏(おおうちし)は神官と武官を兼務する家柄であることに誇りを抱いていました。また、同社に伝わる国の重要無形民俗文化財「鷲宮催馬楽神楽(わしのみやさいばらかぐら)」の演目の中には、太刀や剣、鉾(ほこ)、弓などを使って舞うものがあります。
このように、武術と鷲宮神社との関係は、歴史の重みを感じさせる同社の新たな魅力の一つといえるのかもしれません。
神道無念流関係者の奉献額(鷲宮神社)
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