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第124回 菖蒲神社の扁額(へんがく)に込められた神道無念流(しんとうむねんりゅう)剣士たちの思い

更新日:2024年4月1日

問い合わせ先:文化振興課文化財・歴史資料係

 菖蒲神社の拝殿(はいでん)には、神道無念流の剣士たちが明治10年(1877)に奉納した扁額があります。神道無念流は江戸時代中頃に生まれた剣術の流派で、久喜市の上清久(かみきよく)には、神道無念流の流祖(りゅうそ)から免許皆伝(めんきょかいでん)を受けた戸賀崎熊太郎暉芳(てるよし)が構えた道場がありました。この道場には、本市の内外から多くの人々が入門してきました。
 扁額には、奉納者である加藤善次郎(かとうぜんじろう)とその子どもたちのほかに、寄附者217名と門人42名も名を連ねています。善次郎については、戸賀崎家三代目の芳栄(よししげ)の高弟で、自身も刀鍛冶の仕事の合間に教室を開いて、数百人の生徒を指導したと扁額に記されています。  
 また、善次郎は、新選組(しんせんぐみ)の前身として知られる浪士組に参加したことがわかっています。浪士組は、幕末の動乱期に、京都の治安維持のために関東各地から剣術に長(た)けた人材が勧誘されて組織されました。この扁額に名前のある人のなかには、善次郎のほかにも浪士組に参加した人がいることがわかっています。
 扁額の寄附者については、本市の出身者が62名(旧久喜27名、旧菖蒲26名、旧栗橋2名、旧鷲宮7名)確認でき、全体の3割近くを占めています。
 扁額に記された内容を見てみると、日本の歴史の中で剣が果たした役割について述べながら、剣の重要性を後世に伝えるために扁額を奉納したとあります。その背景には、扁額奉納の前年に廃刀令が公布されたことが挙げられます。明治時代になって近代化が進む中、剣術家にとって苦しい時代となっていきますが、どんな時代になっても剣術を大切にしようとした彼らの思いが、時代を越えて伝わってくるようです。


神道無念流剣士による扁額(菖蒲神社)


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菖蒲神社

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電話:0480-58-1111 Eメール:bunka@city.kuki.lg.jp
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