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第67回 佐間小草原遺跡(さまこくさばらいせき)の蔵骨器(ぞうこつき)

更新日:2018年7月25日

 今よりも死が身近にあった中世の時代に、故人を悼(いた)み弔(とむら)った証しとして、佐間小草原遺跡出土の「蔵骨器」があります。
 蔵骨器とは、火葬した遺骨を納めて埋葬するための金銅製や陶磁器製の容器、つまり骨壺のことです。
 蔵骨器が発見された佐間小草原遺跡は、佐間地区の字(あざ)小草原にある鎌倉から室町時代にかけての遺跡で、昭和44年(1969)の土地改良工事の際に発見されました。当時の発掘調査では、37基の板碑(いたび)(板石塔婆(いたいしとうば))と共に、「瀬戸製灰釉瓶子」と「常滑製大甕(とこなめせいおおがめ)」の2基の蔵骨器が出土しています。
 瀬戸製灰釉瓶子は、14世紀後半に製作された淡い緑色の瓶子です。瓶子は本来酒を注(そそ)ぐための容器ですが、蔵骨器に転用されたときに、注ぎ口が打ち欠かれたようです。内部には火葬された人骨が納められており、その脇から明徳(めいとく)2年(1391)銘の阿弥陀一尊種子板碑(あみだいっそんしゅじいたび)が出土しています。この板碑には「道珎沙弥(しゃみ)」と法名(ほうみょう)が刻まれており、蔵骨器の被葬者(ひそうしゃ)ではないかと考えられます。
 もう一方の常滑製大甕は、15世紀前半に製作されたもので、集められた人骨が納められていました。
 当時は高価であった瀬戸産・常滑産の陶器を蔵骨器に使用していることから、被葬者は僧侶や武士などの身分の高い人物であったと考えられます。
 佐間小草原遺跡出土の蔵骨器は、郷土資料館でご覧いただけます。

瀬戸製灰釉瓶子(せとせいかいゆうへいし)
瀬戸製灰釉瓶子(せとせいかいゆうへいし)

所在地

佐間小草原遺跡(佐間339ほか)

資料展示場所(久喜市立郷土資料館 鷲宮5-33-1)

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