第40回 狛犬(こまいぬ)ならぬ狛鯉(こまこい)の像がある八坂神社

更新日:2018年7月25日

栗橋地区の鎮守である八坂神社には、対になった鯉の像があります。拝殿前にあるこの像は、昭和61年に設置されたもので、口元を見ると阿吽(あうん)の像のごとく、口を大きく開いた鯉(招福乃鯉)と、口をぎゅっと結んだ鯉(除災乃鯉(じょさいのこい))で対になっています。また、この像をよく見ると、鯉が浮かぶ波間(なみま)に亀も彫り込まれていることが分かります。これは八坂神社が次のような縁起に由来したものといわれています。

慶長年間(1596~1615)、利根川の大洪水の折、当地の村人が総出で堤防の補強工事を行っていたところ、川の波間に鯉と泥亀(どろがめ)に囲まれた神輿(みこし)が流れて来たので、これを引き上げると、元栗橋に祀(まつ)られている八坂神社の神輿でした。村人は、この激しい流れに神輿が転覆することもなく当地まで流れ着いたことは、まことに神慮(しんりょ)によるものであると感じ、元栗橋からこの地に八坂神社を勧請(かんじょう)し、毎年6月に祭りを行うようになりました。栗橋宿は慶長年間に代官の伊奈忠次(いなただつぐ)に従う元栗橋村(現在の茨城県猿島郡五霞町)の池田鴨之介(いけだかものすけ)、並木五郎平(なみきごろべい)らにより開墾され、54戸が移住してできた町と伝えられています。八坂神社もこれらの人々により、元栗橋から栗橋に遷座(せんざ)され、建立されたものとされています。先に見た八坂神社の縁起も、おそらくこのような遷座の経緯を、形を変えながら伝えたものと思われます。

なお、この時に流れ着いた神輿は、素戔嗚尊(すさのおのみこと)を祭神とする当社の夏祭りの起源とされています。現在の神輿は文久3年(1863)に新調されたもので、久喜市指定有形文化財となっています。

備考:八坂神社には鯉の像とは別に、二の鳥居の左右に、江戸中期設置と見られる立派な狛犬もあります。

写真 八坂神社の狛鯉(こまこい)の像がある
八坂神社の狛鯉

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