第118回 小林(おばやし)の教育を支えた資産家 齋藤末吉(さいとうすえきち)

更新日:2024年4月1日

問い合わせ先:文化振興課文化財・歴史資料係

 
 久喜市立小林(おばやし)小学校の近くにある石碑には、旧小林村(現在の久喜市菖蒲町小林)出身の齋藤末吉のことが記されています。末吉は明治18年(1885)に生まれました。幼少期は家庭の事情で学校に通うことができませんでしたが、その後上京して仕事をしながら夜間学校に通い、31歳の時に起業して資産家となりました。こうして築いた資産を基に、小林小学校の校舎改築や講堂建築に対し金銭的な支援をしています。
 大正14年(1925)に息子の孝行(たかゆき)が病気で亡くなった際には、保険金の三千円を小林小学校などへ寄附しました。村ではこの寄附金を元手に基金を創り、亡くなった息子の名をとった「孝行会(こうこうかい)」が設立されました。孝行会の基金は村内の恵まれない児童への文具の支給などに使われたことから、末吉は、寄附金が有意義に使われ息子も喜んでいるだろうと感謝の気持ちを表しました。
 また、末吉は、成田山新勝寺(しんしょうじ)にある成田山公園に「雄飛(ゆうひ)の滝」を製作・寄進しています。昭和3年(1928)9月の開瀑(かいばく)式には、小林村の児童など約70人が招待されました。招待された方によれば、早朝に桶川駅まで徒歩で歩き貸切電車に乗ったそうです。
 こうした業績に村民が感謝し、昭和3年(1928)11月に、冒頭で紹介した石碑が建てられました。碑の上部に刻まれた「頌徳碑(しょうとくひ)」の文字は、渋沢栄一が書いたものです。この碑には、末吉の村への貢献と村民が末吉を慕う様子が記されていて、小林小学校や村の様子を伝える貴重な資料となっています。


齋藤末吉

石碑の位置

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