更新日:2024年4月8日
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体長1メートルを超える巨大魚がジャンプするのです。その魚の名もハクレン。しかし、なぜジャンプするのかは誰にもわかりません。さて、この魚の不思議を紐解いてみましょうか。
ハクレンは中国大陸が原産のコイ科の淡水魚です。ハクレンの仲間には、ソウギョ・アオウオ・コクレンがいます。この4種の魚は、いずれも体長が1メートルほどになり、中国では昔から四大家魚と呼び、食材として養殖が行われてきました。
日本には明治以降、タンパク源の確保を目的に中国からの移植が行われ、太平洋戦争中の昭和18年(1943年)に利根川水系に放流されたものだけが天然繁殖しました。当時持ち込まれた魚はソウギョの稚魚でしたが、その中に4種が混じって日本に入ってきたと推測されています。
主に、茨城県の霞ヶ浦や北浦に生息しています。それが産卵期になると利根川を100キロメートル以上もさかのぼって、久喜市栗橋地先まで来ます。
数十匹のハクレンが、連続で一斉に跳ねる光景はダイナミックそのものです。しかし、なぜジャンプするのかはナゾに包まれています。
ハクレンは小心で臆病な魚なので杭にぶつかった反動であるとか、物音や振動になどに驚いて跳ねるのではないかとか、また、最初に驚いてジャンプしたハクレンにつられ、他のハクレンもジャンプするらしいとも言われておりますが、詳しいことはわかっていません。
ハクレンは、毎年5月から7月にかけて利根川の下流から産卵水域の栗橋地先に上ってきます。産卵期でなくてもハクレンはジャンプをしますが、かなりの数のハクレンが一箇所に集まるため、ダイナミックなハクレンのジャンプが見られる可能性が高いのです。
また、ジャンプは一日中見られるのではなく、数匹から数十匹が瞬間的に連続ジャンプします。それが一日に一回であったり、数回見られるときもあります。ジャンプする回数が多くなると産卵も近いようなので、産卵条件7を参考に利根川をよく観察していれば、きっと見られることでしょう。
なお、一般社団法人久喜市観光協会のホームページで、6月上旬から主な生息地の霞ヶ浦に帰るまでハクレンの観測状況を随時記録・公表しています。よかったらご覧になってください。
ジャンプは産卵する前日や産卵する条件が整いそうなときの多いようです。
産卵をするには、産卵日の前日ないし前々日が雨天で、水温が20度前後、流量が毎秒500立法メートルから1,000立法メートル前後、また産み落としたばかりの卵をカモフラージュするための水のにごり(透明度13から22センチメートル程度)が適当な条件になったときに産卵をはじめるようです。
主に、6月から7月で利根川上流部に大雨が降り、川の流量が増加した翌日の早朝から産卵する傾向があるようですが、その年の気象条件によっても異なります。
ハクレンの受精卵は水の流れがないと、川底に沈んだりしてふ化(卵がかえること)はしません。栗橋付近で産卵された卵は下流に流されて、ふ化する2日後にちょうど霞ヶ浦近くにさしかかり、稚魚は流れの少ない霞ヶ浦や北浦に入り込み、そこで成長します(昭和44年、行田市に利根大堰ができるまでは、その上流の熊谷市妻沼地先でも産卵が見られました)。
ハクレンの産卵は、1匹のメスに数匹のオスが絡み合うようにして、産卵と受精が行われます。1匹あたりの産卵数はおよそ100万粒と言われてますが、他の魚や鳥に食べられたり、海まで流されてしまったりして、無事に成長できるのはほんのわずかです。
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